ホウレンソウ「報告 連絡 相談の仕方」とその基本 上司編その2
前回に続き上司編、とありますが相手が上司でなくとも友人、知人、お客様相手。誰が相手でもこの報告の基本と技は共通です。そう、たとえ相手が恋人だったとしてもです。
・どうしてそうなったのか?
・どうしたらいいのか?
・何かまずいことはないか?
これらを焦らず、まずはきっちりと理解し、整理してから。すべてはここからです。
ポイントを整理して臨む
何かうまくいかないことがあり、上司に報告しなければならない場合、その報告がまわりくどいものになるのは避けなければなりません。特に、上司が大変忙しい身の場合はポイントを整理したうえで「手短に上司の知りたがっていることだけ」を報告することが必要です。
うまくいかなかったことの責任の一端が自分にあり、そうかといって上司から叱置されたくないという思いがあると、とかく言い訳からスタートして、次に状況を詳しく説明してから不首尾に終わった結論を報告する傾向があります。気持ちは分かりますが、忙しい人にしてみると言い訳を聞いている間に
「だからどうなったんだ」と言いたくなってしまいます。
まず、最初に結論を話し、手短になぜそのようになったのかという事情を話し、過ぎたことを言っても仕方がないことも多いので、繰り言は程々にして、むしろこの後どのようにするのかという、自分なりの意見を持って臨むべきでしょう。
代案を用意して報告に臨む
上司として部下から報告・相談を持ち掛けられた際に一番困るのは「どうしましょうか…」と言うだけで、部下本人はどうしたら良いかという代案・提案を持たない場合です。
「どうしましょうというが、君はどうしたらいいと思っているのか?」「いや特に私の意見はありません、部長のご指示に従いますのでよろしくお願いします」経験豊かな部長であろうとそのように言われてもどうしていいか、とっさに良策が見つかるわけではありません。
部下が自分なりの方策を考えて相談に臨めば、上司としてはそれの良否を判断すればよいことになるので話も早いです。その際、一案だけでなく複数案考えていればそれぞれのメリット、デメリットを整理して、その上で自分としてはこれで行きたいという意見を持って臨めば、判断する側の立場としては非常に助かるでしょう。
じっくり考えて自分なりの意見を持って報告・相談に臨むことは、上司を助けるだけでなく、自分自身を成長させる事にもなります。
問われることを前提に報告する
何か好ましくないことが起きて、それを上司に報告すれば通常「どうしてそうなったのか?どう対策するつもりか」という事を問われます。事前にその質問に対する答えを用意して報告に臨まないと「思慮の浅い頼りない部下」という評価を受けてしまいます。
前述のように上司に問われた際、あなたがあやふやな答えをすると、鋭い上司はどんどん質問を浴びせてきます。ある人が所属していた職場であった話ですが、ある時、教育担当者の会議を開催したところ、参加予定者の半分しか集まりませんでした。
この集まり具合では会議をしても仕方がないので中止することにして、事務局を務めたAさんは主催者である人事部長にその旨を報告しました。人事部長は「どうしてこんなに集まりが悪いのか」と咎めるように聞きます。当然ですね。
「皆さん忙しい人達ばかりなので急用が発生して、そちらを優先してしまったせいです」とAさん。
確かにこの教育担当者の会議は各部の次長クラスから構成されており、忙しい立場の人達ばかり。しかし、Aさんの言う「参加予定者の多忙のせい」という理由に何一つ納得できない人事部長は、こう言います。
「でも、前回までは集まりはよかったんじゃないか?今まで皆さんは暇だったのか?そんなことはないだろう?」
部長は 「今までよかったのに今回に限ってよくないのは何か理由があるのではないか?もう一度よく考えて、なぜ今回に限り悪かったのかを報告してくれ」という。後で判明したことですが、これまでの会議はスタート時間がお昼の12時であり、今回は人事部長の都合もあって10時30分という一時間半早い時間でした。
お昼休みに昼食をとりながら開催するということで多忙な人達も集まりやすかったことが、参加率の高い要因だった様です。
このように、うまくいかなかったことを報告するときは必ず「なぜ」を問われることを覚悟して、きちんと説明できる状態で臨まなければなりません。その理由をきちんと整理して説明できれば、おとがめも多少和らいだものになります。
前述の例は社内的なことなので影響度はそれほど高くありませんが、取引先との間で好ましくない事態が発生した場合は大変です。たとえば、得意先からクレームの連絡が入った時。これを受けて「大変なことになりました!」という報告だけでは上司は納得しません。
新入社員ならイザ知らず、課長・係長クラスの中堅クラスであれば現状報告と共に何故そんな事がおきたか、とりあえずどうするのか、再発防止の為にはどうするのか。更にクレームの影響に対してどうするのか、といった考えを持って報告に挑む事が期待されています。
もちろん一挙に全ての答えを用意することは出来ないまでも、大変なことになったという報告の際には「得意先に迷惑をかけないために、暫定的ではありますがこれこれのこういった対策を取りたい」という答えぐらいは最低限持って報告に挑みましょう。
その上で「後ほど何故このようなことが起きたのかという真の原因究明と、再発防止の為の是正対策と今回のトラブルの影響を最小に抑える方策を報告します」と約束すれば、上司から
「わかった、宜しく頼むよ!」
といった言葉が返ってくるはずです。
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