企業経営者こそ社員の健康管理に気をつかうべき。そこに力を入れるかどうかで「金持ち父さん、貧乏父さん」の分かれ道が
『金持ち父さん、貧乏父さんの分かれ道』などと名著をモジった一見不謹慎な見出しでたいへん恐縮ですが…しかし、これはあながち外れた表現ではありません。それほど、健康状態によって個人の経済状況が大きく変わる可能性があるのです。
病気になるといくらぐらいかかるのか考えてみたことがあるでしょうか。生活習慣病の代表選手といえる糖尿病を例にとると、平均的な医療費は年間約24.7万円です。したがって三割自己負担では、年間約7.4万円の支出が増えることになります
(平成15年度医療経済研究機構調査「糖尿病患者一人当たり医療費」より)
ただし、これは、あくまでも糖尿病単独の場合です。実際には、糖尿病になると高血圧や高脂血症などのいろいろな病気を合併することが多く、そうなるとその分の医療費が上乗せされることになります。
また、日本人の死因第一位の生活習慣病であるがんの場合には、年間医療費が128.4万円にも達する場合があります。もちろん、保険金の給付があるでしょうし、高額療養費制度による償還も受けられるかもしれませんがそれでも結構な出費となることは、間違いありません。
がんは命を脅かして経済的にも多大な負担を強いる恐ろしい病気ですが、ハーバード大学の疫学調査などから、がんのほとんどはがんになるまでの生活習慣が原因であることがわかっています。つまり、ありがたいことに生活習慣を変えることによってがんを防ぐ事も出来る!ということです。
がんの主な原因
タバコ:30%
食事:30%
その他:20%
職業:5%
運動不足:5%
ウイルス・感染:5%
遺伝:5%
(※米国ハーバード大学の医学調査結果)
ガン治療時の年間自己負担額
年間100万~120万以上の費用がかかるガン治療
急に痩せ始めるにはワケがある
さて、平成20年4月から「特定健診制度」が開始されました。
これはいわゆるメタポ健診で、40歳から74歳の人を対象に、メタポリック症候群、さらにはその気配のある人をピックアップして、保健指導を行うというものです。
これは、未曽有の高齢化が進行している日本で、生活習慣病の元になるメタポを減少させることによって、高騰している医療費を抑制するのが主な狙いです。そのため、この制度には効力を発揮するための、ちょっとしたカラクリがあります。
これまで健診は市区町村といった行政サイドの主導で行われてきましたが、このメタボ健診は、保険者、つまり会社の健康保健組合などが社員とその扶養者を対象とし行うものです。そして、五年後には受診率、受療率、改善率が算出されてその成績によって健康保険組合単位で後期高齢者医療制度への負担金が課せられることになりました。
つまり、メタボ社員をあまり減らすことが出来なかったらペナルティとしてより多くの負担金を会社が出資しなくてはならなくなった のです。これは、 会社の規模によっては数千万円~億単位の支出増につながる可能性があります。このため、経営者側は、いままでになく社員の健康管理に真剣になっています。
社員にとってはメタボ検診を最大のチャンスに変える事が出来る
健康管理に真剣に取り組もうと考えている経営者の会社でうっかりメタポ社員になるようなことがあれば、なんらかのつまらない思いをする可能性がないとは限らない。その反面、逆にこのような時に健康知識を勉強し詳しくなって、より健康を目指してメタボから遠ざかれば健康度だけでなく上司からの評価も上がり、思わぬチャンスが転がり込むかもしれません。
誰かに大事な仕事を任せるときにもし能力が同等であれば、より健康そうで活動的な人に任せたいと思うはずですから。
健康に目覚めた方は、メタボ健診制度でさえも強い味方にする可能性を秘めています。